お線香の歴史 〜日本とお線香の関係〜

仏事のときには必須アイテムで普段何気なく使っているお線香ですが、一体いつどこで誰がお線香を作ったのでしょうか?
きっと生きていく中で使うことのない知識ですが、知っていると豆知識として自慢できちゃうお線香の歴史について今回は解説していきたいと思います。

1.そもそもお線香とは?

お線香は、お寺・お墓・仏壇で焚くことによって、周囲を清浄にする効果があるといわれ、ご先祖様に手をあわせる前の私たちの心を鎮め、清めてくれるといわれています。
またお経には、お線香の香りは仏様の食べ物と記されているので、家庭でもお線香の香りをご先祖様への供養のお供えとして焚きます。

2.お線香とお香の深い関係

少しだけ話がズレますが、お線香とお香って似ていませんか?
火をつけると煙がでて、お部屋を香りで充満させてくれるところや、お香を焚くことでリラックスして気持ちを落ち着かせてくれるところなど似ているところがたくさんあります。
形も、お線香のようにスティックタイプのお香も売ってるので、もはや違いが分かりません。
こんなにも似ているお線香とお香ですが、実はそれもそのはず!
なんとお線香はお香から生まれているのです。
最初に生まれたお香の長い長い歴史の中で、お線香という現代の形が生まれ、今でも変わらず使い続けられているのです。
ですので、お線香とお香はいわば親子みたいなものなのです。

3.お線香の歴史

3-1.始まり

それではお香とお線香の関係が分かったところで、お線香の歴史に入っていきたいと思います。
昔々にお香が生まれ、人々に普及し、日本にもお香の文化が流れてきました。
お香の使い方は現代と変わらず、リラックスしたい際や匂いを染みつかせたいとき、特別な儀式の時に使われるなど、現代と変わらない使い方で自由に使われていました。
お線香ができる以前の日本では、仏事ごとの際に必ずお香を使用していました。
みなさんも知ってるお焼香は、昔から変わらずお葬式の際に故人にお焼香をあげていました。(お焼香は高級な香木を粗く砕いて細かくしたもの。)しかし、お焼香の燃焼時間はとても短く、お坊さんがお経を唱え終える前にすぐ消えてしまいます。
お焼香の役割は、お焼香の煙が部屋に充満することにより、空気を浄化し、その場にいる人々の心を浄化してくれ、お坊さんのお経を共に故人を送り出す手伝いをしてくれる大切な役目を担っているのです。
それなのに、すぐ消えてしまっていてはお坊さんもお焼香の燃焼時間ばかり気になってお経どころじゃありません。
そこで、新しく中国、台湾から輸入されてきたのは「竹芯香」というものでした。

3-2.竹芯香とは

竹芯香は、お線香の中の部分(芯)に竹の棒が入っていて、そのまわりを覆うように香が被されて練りあげられスティック状にされたものを言います。
現代のお線香のようにスティック状になっている為、燃焼時間も長く、香りも充満するので日本に輸入された当初はとても話題になりました。
しかし、竹芯香の弱点は、香の部分の香りよりも、中の竹(芯)の部分が燃えることによってでる竹の焦げた匂いが部屋に充満してしまい室内では臭すぎて使いものにならなかったのです。

3-3.お線香の誕生

そこで考えられたのが、
「竹芯香の中の竹なしで、お香だけでスティック状にしてしまえばいいんじゃないか」

という斬新かつどうしてこんな簡単なことを誰も思いつかなかったんだ、ということからお線香が誕生したのです。
もともと香木がとても高級な品だったために、お香は一般庶民にはなかなか手の届きにくい品だったのですが、少量の香木で香りを遠くまで届かすことができ、かつ燃焼時間も長いお線香は費用も少なくすむ為、お値段も安く瞬く間に寺院や庶民の間に普及しました。
これが現代で使われるお線香の原点でした。

4.まとめ

ひょんなことから生まれたお線香でしたが、今ではお盆やお墓参りのときは欠かせないアイテムとなっていて日本の一つの風習にもなっています。
お線香の豆知識として、お盆やお墓参りでお線香を使う際には家族や親戚にお線香の歴史を話してみるとお線香をあげる際の気持ちの持ちようが少し変わるかもしれないですね。