お線香の長さと江戸時代 〜お線香の長さと燃焼時間の違い〜

お線香といえば、思い浮かべるのは緑色の棒状のお線香だと思います。
実はお線香には短いものでは6cmほどから長いものでは70cmを超えるものまでさまざまな長さで、それぞれに役割があり、燃焼時間も決まっています。
なぜそれほどまでにお線香の長さの違いがあるのでしょうか。
お線香の長さと燃焼時間・・・どういった関係があるのでしょうか?

1.お線香の長さ

お線香には大きく分けて6つの長さがあります。
①ミニ寸
②短寸
③中寸
④長寸
⑤長尺
⑥渦巻き線香

①ミニ寸

6cm〜9cm 燃焼時間約13分
朝夕に仏様へお線香をあげるのに使われます。最近ではペットの供養用としても使われます。

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②短寸

12cm〜14cm 燃焼時間約25分
一般的な家庭用やお墓参りなどで使うお線香の長さです。
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③中寸

18cm〜21cm 燃焼時間それぞれ45分〜50分
短寸とそれほど長さの差がないので、中寸まで短寸と呼ばれることもあります。
中寸は1把で販売されることが多く、高級なお線香は中寸が多いです。
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④長寸

25cm〜以上 燃焼時間50分〜
主に寺院で使用されるサイズです。形も太めのものが多く、丸や四角などさまざまです。

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⑤長尺

35cm〜58cm 燃焼時間2時間〜4時間
こちらも主に寺院で使用されるもので、香りが広がる太めのお線香です。
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⑥渦巻き線香

燃焼時間約12時間
お通夜や初七日、四十九日などお線香を絶やしてはいけない時の仏事用として使われます。
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なぜ長さがこんなにも違うのか?
それにはお線香の歴史が関係しています。

2.お線香の役割 〜江戸時代と禅寺〜

ちょっと時代が変わって江戸時代まで戻ると、現代でいう「時計」というものがなかったのでお線香が時計代わりとして役割を果たしていました。
現代でも、禅寺では時間をはかる単位としてお線香が使われています。
時間を計る単位は「一炷(いっしゅ・いっちゅう)」と数えます。
一炷は、お線香の燃え尽きるまでの時間を一炷と数えます。
そこで、それぞれのお線香の長さによって一炷がかわってくるのです。
例えば、
燃焼時間25分の短寸のお線香を使った場合、一炷は25分となります。
燃焼時間約50分の長寸のお線香を使った場合、一炷は約50分となります。

禅寺では、お線香の長さによって座禅の時間を分けて使っているそうです。

3.まとめ

誰もが一度は使ったことのあるお線香ですが、短いサイズのお線香や何時間も燃え続けるほどながいお線香を見たことある方は少なかったのではないでしょうか。
たまには現代の時の流れに流されず、お線香を焚いてお線香の時間に身を任せて時を過ごしてみるのもいいかもしれません。